NAGORI


小牧さん

ご紹介

「名残」というサイト名がこれほどまでにドンピシャな方がこの世にいるだろうか?って初めてサイト訪問させて頂いたときに思いました。その名の通り読後に余韻を残す夢小説を書くのがとてもお上手。羨ましい。mhykに目覚めた夢女は小手調べとしてまずこの方のお話を読むといいです。世界観がドンピシャなので外れがない。誰も悪くないのにどうにもこうにも幸せになれない話を書かせたら天下一品。遠近には逆立ちしても書けない夢小説ばかりを書かれるので、一度頭の中を覗いてみたいです。取り扱われてるジャンルの中でも特におすすめなのは呪、mhyk、鬼滅。人には適材適所っていうもんがあるよね。

サイトURLはこちら:名残

それでは書評のお時間です!張り切っていっちゃおー!

勝手に書評を書くコーナー

公式スピンオフでも差し支えないで賞
『知らぬ朗々彼方のあなた/煉獄杏寿郎』
煉獄さんと藤の家の娘の話。本当にあったエピソードですよね?ってぐらいに原作に近しい世界観で描かれていて、原作との幕間を埋める能力の高さにため息が出ますね。めちゃくちゃ好きです。無限列車を読んだ後に是非とも読んでほしい。映画公開前はネタバレもあるし原作未読の方にオススメするのはちょっとな……と気後れしておりましたが、オタクのほとんどが無限列車を視聴した今の世界では胸を張ってオススメ出来るようになってとっても嬉しいです。
1話〜3話+春夏秋冬の話で全7話構成ですが2話が特に好き。藤の家で年頃の男女が二人きりなことを気にしているのに「じゃあ帰りますか?」って聞いたら「いや、帰らない!」って答える煉獄杏寿郎、藤の家の人は鬼殺隊の世話をするのが役割なのに恩を感じて薪割りをしてくれる煉獄杏寿郎、愛ばかりが募る。大抵の隊士は一度訪れた藤の家にもう二度と足を運ぶことはない(下の階級の隊士達は恐ろしいくらいの速度で死んでいく)中で、春が来ても夏が来ても秋が来ても冬になっても変わらない姿で自分の家に足を運んできてくれる煉獄杏寿郎と少しずつ親交を深めていきたいですね。


続・公式スピンオフでも差し支えないで賞
『極彩色は掴めない/ミスラ』
実はシナリオライターやってる?ってぐらいにmhykのあの人間と魔法使いとではどうやっても手と手を取り合えない世界観を描写するのが上手い。遠近には逆立ちしても書けない。素晴らしい。
まずTwitterに上げられてるのを読んで「mhyk界隈にはとんでもない話を書く人がいるな……」と思ったんですが、その後サイトにも上げてくださったのでいつでも読めるようになりこうして他人様にも薦められるようになってめちゃくちゃ嬉しいです。
mhykの死の湖のスポットエピソードを読んだ方には是非こちらもご一読頂きたい。「あなたが死んだら、同じところに運んでやりますよ。それが、俺の仕事なので」って言う最高のミスラちゃんが拝めるので……。仕事だからやってるだけで特に死者に何の思い入れもなさそうなところ、無慈悲が故に強い魔法使いだなと思い知らされるような心地です。魔法使いに取り憑かれた人間の話、あの世界ならどこの国でも一つや二つはありそうですがこうしたお話を読むと特に北の国ではそれが顕著なのではないかなと思いますね。ある種の信仰にも似たものがありそう。


まさにこういうのが読みたかったで賞
『もう戻れないこと/夏油傑』
読み終わった瞬間にそうそうこれこれ!これが読みたかった!って思わず膝を打ってしまったお話。謀叛する決意を固めた夏油傑が非術師の恋人を手にかける、という呪にハマったオタクなら一度は通るであろう設定を見事に描き切っていて「ここまで描いてる人がいるならもう自分に書けることは何もないな……」と思わせて頂くことが出来た忘れられない作品です。本当に出会えて良かった。呪は自分で書かなくても他の人が書いた話で満足出来ることが多いので、アニメの影響もあって呪夢が増えてきた今の状況は読み手としても書き手としてもとても幸せだなと思いますね。
「呪霊がどれだけそばに寄ろうと〜そもそも彼女が理解できるような人間であったなら、夏油はこんなことをしなくともよかったのだ」のところがあんまりにも解釈一致すぎる。親も友達も恋人さえも呪いが見えない人間は決して特別扱いしない(出来なかった)夏油傑、だからこそ呪詛師として生きていくしかなかった夏油傑、自身の偏った思想に気付いてしまったからには五条悟と二人で最強ではいられなくなってしまった夏油傑、そんな彼に定期的に想いを馳せていきたいです。


その優しさが胸を抉ってくるで賞
『Hiraeth/ファウスト』
「憧れ」や「郷愁」って意味を持つタイトルがぴったりな作品。誰も悪くないのに誰も幸せになれないままならない世界観を書かせたらピカイチ。才能が眩しい。
まず第1話のタイトルが「やさしい魔法使い」から始まるのが素晴らしい。そう、やさしいんですよねファウスト先生は……だからこそ本人は引きこもりたくても周りに人が集まってくるんですよね魔法使いにあるまじき良い人だからさ……。棚に置かれた瓶の一つ一つにラベリングがしてあってちゃんと向きも揃えてあるところ、めちゃくちゃ神経質じゃん!ってニコニコしてしまいます。
全話好きですが一番好きなのは1話目のこのファウストの台詞。「……だから、僕はきみを拾った。人間なんか助けたいとも思わないけど、きみが死んだら、力を振り絞って必死にきみを助けようとした幼い魔法使いが報われない。そんなの、あんまりだろう」魔法使いファウストがどんな人なのかこの短い文章で分かったような気にさせてくれる、その分析力と考察力と表現力には舌を巻きます。本当に私と同じmhykをプレイしているのだろうか……?と感嘆のため息しか出てきませんね(未だに魔法使い達のキャラクターを全然掴みきれていない人)


貴方だけの一等星になりたいで賞
『一等星になれなくても/心操人使』
個性を考えられないが故にヒロアカを全然書けない人間からするともうスタンディングオベーションもの。原作にありそうでまだ出ていないこの個性の絶妙な感じが素晴らしい。どうやったら考えつくんでしょう? 頭の中を覗いてみたい。
さらっと読めてスッと頭に入ってくるお話なのでとりあえず全編読んでほしいんですが、特に好きポイントは「今のところのベスト・オブ・ヤバイ個性は、同じクラスの心操君、『洗脳』だ。」です。ベスト・オブ・ヤバイ個性。心操人使を端的に言い表しているにも程がある。そんなヤバイ個性でも必ず効かない相手はいて、だから最強の個性なんてものはヒロアカ世界には存在しなくて全ては使い方次第というミリオやワンフォーオールの話にも通ずるものを感じますね。原作の世界観に寄せるのが巧すぎて本当に頭の中を覗いてみたいです。(そればっかり言ってる) 素敵なお話を生み出してくださった上に公開までして頂いてありがとうございます。


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