Tandeki


未来ちゃん

ご紹介

言わずと知れた夢小説の名手。965、fate、呪を通ってきた夢女でこの人の小説読んだことない人いる?ってレベルで有名だと思うので遠近が紹介するまでもない気がしますが、書評を書くことを快くお許し頂けたのでこの機会にたくさん褒めちぎろうと思います。今年で夢サイトが10周年だそうですが、是非とも10年後も20年後も変わらずに書き続けていてほしい。あと10年続けてるのにクオリティが全くブレないのが凄い。とにかく凄い。切なくてやるせなくて少しだけいかがわしい話を書かせたら夢小説界隈でこの方の右に出る者はいないので、今後とも突っ走って頂きたいなと思います。

サイトURLはこちら:耽溺

それでは書評のお時間です!張り切っていっちゃおー!

勝手に書評を書くコーナー

余すところなくセンスが爆発しているで賞
『あの月はもしかして/及川徹』
パッと見てまず「タイトルかっこよ!」って思う。そして本編読んで「終わり方かっこよ!!」って思う。アホの感想で申し訳ないですがこの方の夢小説の前では本当に語彙力を失ってしまう、そんな力が随所にありますね。
全編通してどこもかしこもめちゃくちゃ好きなんですが、「何がすきだ。私のこういうところが大嫌いなくせに。」ここが特に爆裂に好きです。あの子には言えない秘密と子供の頃より少しだけ上手くなった嘘を及川徹と共有したい!と思う度に床をごろごろと転げ回りたくなります。そんなときに読む話がこれ。このお話にこのタイトルを付けてるのが天才の所業ですね。
あの月はもしかして、あんまりにも語感がいいので口に出して読みたい日本語選手権があったら是非ともノミネートされてほしいものです。


どこまでも欲望に忠実で賞
『ハート・ライク・ヘブン/轟焦凍、爆豪勝己』
轟焦凍と爆豪勝己に挟まれていいようにされてもう戻れなくなってしまいたいという欲望が未来ちゃんの最高の文章でそのまま形になってしまったとんでもない作品。本気で夢小説界の歴史に残ると思ってる。最近めっきり見かけなくなりましたが〇〇しないと出られない部屋系の話ですね。どう考えてもコンセプトの時点で優勝してる。もうどうにもならないと悟って運命を受け入れた主人公に向かって「意味わかってんのか?」って唖然としながら言う爆豪くんの、こういうことに関しては決して強要してこないところ、とってもとっても好きです。私が死んだらこの作品と一緒に埋葬してもらいたいレベルで好き。


これを読むために私は生まれてきたので賞
『love song from my hell garden/夏油傑、五条悟』
未来ちゃんの書く話と呪があんまりにも相性が良すぎるので本当はこの方の呪夢を全部おすすめしたい勢いなのですが、今回はお一人につき5作品という形を取らせていただいているのでとっておきを一つ。
隣同士で座る新幹線の車内で慌てる女の子に対して「いつでもこうして私がいるわけじゃないからね」と諭してくる夏油傑、縋り付く女の子を決して突き飛ばしはしない夏油傑、「君が呪術師でよかった」と言う夏油傑、あまりにも良くて感嘆のため息が出ます。ため息ついてばっかりですね。でも出るものは仕方ない。
全編好きなので余すところなく読んで頂きたいんですが特に終盤のここが好きです。「高専に入って三度目の冬だ。夏油くんのいない冬が来る。」ここを読む度にそれな〜!!!いや本間それ〜!!!と心の中の関西人が大暴れする(大迷惑)


持ち味が活かされすぎているで賞
『さよならユーフォリア/東堂尽八』
絶対に力尽くで女の子を自分の好きなようにはしない東堂尽八と、その正しさを好ましく思いながらも強引に迫ってくれたらいいのにと思う女の子のお話。あらすじでもう好きだって分かる。素晴らしい。直球勝負のラブラブ夢小説も好きですがこういうもどかしいのも大好きです。
「私の作りだした崩れ落ちそうな声音よりも〜そうされれば困るくせに、きっと私は彼にすがりついてほしかった。」特に1話目のここが好きです。どうにかしてあの東堂尽八にすがりついてもらいたい!という書き手の強い意志を感じる。だけどそれをしないからこその東堂なんですよね。
東堂尽八、クールビューティー気取りながら三枚目っぽい役回り(森の忍者とか)の時もあるし、ドライなように見えて巻ちゃんとの勝負に執着していたりと掴み所がないなという印象なのですが、このお話を読むと東堂尽八のことを少しだけ分かったような気になれるのが素晴らしい。東堂から告白されてそれを振る、という一見逆では?って感じのストーリー展開なのですがこの方が書くことによってとんでもない説得力があるお話になってます。好意の告白や心情の吐露という行為によってこれまでの二人の関係性が変化してしまう(そして片方がそれを恐れている)展開が大好きなので、こういうお話を無限に読んでいたいですね。


友達にはもう戻れないで賞
『一瞬にして永遠/御幸一也』
うたた寝している御幸の眼鏡を外して寝顔を見つめる話。どう足掻いても恋。どうやったってもう御幸と友達には戻れない。
「たくさんの伝えたいことがあった。好きだってことも、御幸がなにを考えているのかを知りたいってことも、力になれないかもしれないけどなんだってするから悩んでいたら話してほしいと思うことも。本当はもっと近づきたいことも。でも言葉にならなかった。胸だけが泣き出しそうな痛みを覚えていた。」ここの表現が好きすぎて繰り返し繰り返し読んでしまいます。
御幸一也、♦︎A読んだ人なら一度は好きになると思うんですが何故我々が彼に惹かれてしまうのかをここまでちゃんと表現出来ているのが凄い。高校生の両片想い及び恋が成就する瞬間は万病に効きますね。このお話を書いてくれた上に公開までしてくれる、こうした世界線で生きていられていることに感謝したいです。


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