Machine-gun Talk! 01

「ねえ、日向くん。女バスって知ってる?」

きっかけは監督のこの一言だった。

「…はあ?誠凛に女バス?そんなんいたの?」
「私も知らなかったんだけど、どうやらいるらしいの」
「でも練習してんの見たことないんだけど」
「そうなのよね……」

一体誰が部員なのかしら、と頬杖をつきながら考えるカントクに椅子に座って俺たちを眺めていた伊月が助け舟を出した。

「じゃあさ、偵察に行ってみたらいいじゃん」
「!」

そうね、偵察に行けばいいのよ!伊月くんもたまにはましなこと言うじゃない!と目を輝かせる監督に嫌な予感しか感じられなかった。

◎◎◎

「女バス……っすか?知らね、いや…知らないっす」

偵察とは言ったものの、女バスの情報はほぼ皆無に近くて誰に聞いてもダメだった。仕方ない、こうなれば最後の頼みの綱はお前だけだと望みを託した火神のあっさりとした「ノー」の返事に俺たち二年生はがっくりを肩を落とした。こんだけ探し回っても見つからないなんてどんだけ知名度低いんだ女バス。つーか本当に女バスなんて存在すんのかよ、と監督に詰め寄りたくなるのをぐっと堪え、素知らぬ顔で俺たちのやりとりを聞いていた黒子に話を振ってみた。

「なあ黒子、お前は何か知らないか?」
「知ってますよ」
「あ、そうかやっぱりそうだよな知らないよな……え!?」
「何ですか?」
「何でお前が女バスのこと知ってんだよ!」
「友人だからです」
「友人なのかよ!」
「はい」

それが何か、とでも言いたげな顔をする黒子をまじまじと見つめる。いたのか、女バス。見たことないけど本当にいたのか。しかも黒子の友達ときた。一体どんな部活なのか、いよいよ謎である。

「なあ火神、黒子ってお前以外に友達いたの?」
「いや…知らなかったっす」

後ろで伊月と火神がひそひそと話す内容に思わず小金井が吹きだした。いやお前失礼だろ、俺も内心意外すぎるとは思ってたけど失礼だろ黒子に。

「黒子くん、ちょっといい?」
「はい」
「出来たらその女バスの人に会いたいんだけど…」
「もうすぐ来ると思いますよ」
「え?」
「今日は一緒に帰る約束をしているので」
「それってもしかして黒子くんの彼女「違います」

監督の発言を無表情でばっさりと黒子が遮ったそのとき、体育館の入り口から「黒子くーん!シェイクー!」という元気な声が聞こえた。

さん」
「ごめんごめん!外周してたら遅くなっちゃってさ」
「いいですよ。日向先輩、こちらが女子バスケ部のさんです」
「バスケ部の先輩?」
「ええ」
「初めまして、誠凛女子バスケットボール部主将のです!」

女子バスケットボール部は本当に存在していた。

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