Machine-gun Talk! 02

「誠凛女子バスケットボール部ね、今は部員あたししかいないの!だから強制的に主将なんだー。勧誘もいっぱいしたんだけど、どうも良い反応がなくてさ。結局あたし一人のままってわけ!さすがにちょっと悲しくなったりもしたんだけどね、そのときに偶然会った黒子くんが慰めてくれて、何て良い子なんだ!って感動したのね。で、黒子くんが「ボクはあなたと同じくらいバスケが好きですよ。挫けずに頑張ってください」って言ってくれたの!それもあって今でも一人で部活続けてるんだー。あれ?黒子くんの話してたんだっけ?違うな、とにかく試合とか出れないんだけど、あたしはこれはこれで楽しいと思うんだよね。そりゃあ人数多い男子バスケ部が羨ましいけど、いつか部員増やして男子の隣りで部活して試合に出るのがあたしの夢なの!ちなみに二年生だから日向くんとか伊月くんとか相田監督とかと同い年!よろしく!」

とにかく良く喋る女だと思った。

「どうしよう日向、俺あの子のマシンガントークについていける自信ない、ほとんど何言ってんのか分かんなかった」
「奇遇だな小金井、俺もだ」
「ちなみに俺もね」
「伊月も?初対面でいきなりあんなに喋る女の子俺初めてみたよ」
「見ろ、黒子あのマシンガン女子と普通に喋ってんぞ」
「日向もしかしてマシンガン女子ってさんのこと言ってる?」
「そうだけど」
「そのネーミングセンスはないよねー」
「あ、やっぱりそう思…うわああああ」
「何」
さん!いきなり出てこないでびっくりするから!」
「堅いこと言わなくていいよ小金井くん」
「何も堅いこと言ってないよ!」
「小金井、お前忘れてるかもしんねえけど部活中だぞ今」
「日向それ早く言ってよ!」

目の前で繰り広げられる小金井とのやりとりはさながら漫才のようで部活中だということをすっかり忘れていた。まあどうせあと二十分もしないうちに終わる予定だったから今日くらい早く終わってもいいか、監督にもう終わりたいんだけど何か招集つかなくなってきたし、と言うといつもとは打って変わって終わっていいとの返事が返ってきた。珍しい、どうやらあのという女子は監督の手にすら負えないみたいだ。

「俺思い出したんだけどさ」

ボールとリングを片付けて身支度をしている途中で伊月が言った。あのマシンガン女子はどうやら黒子と例のシェイクとやらを飲みに行ったらしくもう既にその姿はなかった。何を思い出したのか、と特に疑問にも思っていない質問を投げかける。

「あの、って名前。聞いたことあるんだよなあ」
「何だ、もしかしてあいつ有名人なのか?」
「いや、イベリコ豚カツサンドパン三大珍味のせを毎回かっぱらってくる天才らしい。他の部活のやつがはまじで天使だ!マリア様みたいだ!って言ってたんだよ」
「何だそれ」

誠凛高校唯一の女子バスケ部部員が変なやつだということだけは今日一日で充分に分かった。

「ねー黒子くん」
「はい何でしょう」
「男バスの人たちって面白いね」
「ああ、火神くんなんて面白いですよね」
「かがみくん?」
「あの目つきがあまり良くない髪の赤い人です」
「あの人火神くんっていうの、名前そのまんまだね。熱い感じだもん」
「そんなこと言ってたら怒られますよ」
「大丈夫だよ、…多分」
「相変わらず勢いだけで生きてるんですね」
「黒子くんは相変わらず毒舌だね」
「そんなことありませんよ」
「ねえ明日も男バスのとこ行ってもいいかな」
「どうぞご自由に」

何となくだけどこれから彼女と関わる時間が増えていくような気がした。

prev | INDEX | next