Machine-gun Talk! 13

中学時代同じコートでバスケをしていた黒子くんに言わせると、キセキの世代ナンバーワンシューター緑間真太郎という選手はフォームを崩されない限り放ったシュートは百パーセント決めるらしい。

黒子くんがこういう場面で冗談を言うとは思えないけど聞いたときはさすがに冗談だと思った。あんな高いループでシュート決めるだけでも一苦労なのに加えて百発百中だなんてどんなセンスしてるんだ。コントロールがいいのにも程がある。だけど現に緑間くんはあたしたちの目の前で何本もシュートを決めていた。

まだ第二クォーターが終わってもいない内に30点も差をつけられて打ちのめされたような顔をする相手チームにとどめをさすかのような緑間くんのシュートに会場全体がどよめく。去年あの高校生離れしたダンクをする大坪さんって人だけでも手に負えなかったらしい秀徳が緑間くんの加入で更に強くなっているのは誰の目にも明らかで、さすが東京都不動の三大王者とでも言うべきか。格の違いを見せつけられたような気がした。

「よーしじゃあ帰」
「帰るなー!」

帰ろうとしたら相田監督に突き飛ばされた。ちょうど目の前にいた水戸部くんが支えてくれたから何とか転ばずには済んだけど、一緒に突き飛ばされたらしい選手が何人か床に転がる。つ、ツッコミとは言えそんな全力で突き飛ばさなくても……。

「予選4回戦と最終日は二試合ずつやるのよ」

あれ、予選4回戦って確か今日じゃなかったっけ。ってことは17時から5回戦…何それ超ハードスケジュール!さっきの試合でみんなお茶全部飲んじゃってたしまた作りに行かなくちゃ。さっきコップとお茶っ葉どこにしまったんだっけなー。

「ちょっと!さん聞いてる!?」
「えっ!?ごめん全然聞いてなかった」
「だから、最終日はおそらく準決勝は正邦!決勝は秀徳!」

北と東の王者と二連戦なのよ!

廊下に響いた監督の声に選手全員が驚いた顔をする。当たり前だ。あたしもめちゃくちゃびっくりした。よりにもよって王者と二連戦って。ウルトラスーパ―ハードスケジュールなのにも程がある。しかもバスケ部の人数結構少ないから控えの選手がたくさんいる訳でもないし、死ぬし!と誰かが叫んだ声に激しく同意。そう思っていると「でもピンチってちょっと……燃えません?」という黒子くんの声が聞こえてきた。日向くんたち二年生がそれを聞いてくすりと笑う。あーあ、どうしてうちの一年生ルーキーたちはこうも熱い子揃いなんだろう。まあ、ちょっとどころかメラメラ燃えたりしちゃってるけどねあたしは!

「おっしゃーテンション上がってきた……ちょっと練習して……」

「はいちょっと待った、火神くんはとりあえずあたしとストレッチするよ!試合前なんだからむやみに動いたりしないでちゃんと体休ませて!あと日向キャプテンごめん5回戦の分のお茶っ葉学校に忘れてきたかもしんない!」
「今すぐ学校まで取りに帰れ」

冗談だと思ってたらホントに取りに帰らされて泣くかと思いました。

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