Machine-gun Talk! 44

最後の最後で眼鏡さんがブザービーターをくれたおかげで9点差、海常には厳しい状況になってしまった。緊迫した雰囲気に見ているこっちまで喉が渇いてきちゃうような、そんな試合を見るのはあたしも生まれてこのかた初めての経験。インターバルの間に全員で買い出しを頼まれた一年生にお茶を頼んで見送「お前も行けよ」何でだよ日向キャプテンあたし二年生なのに!

誠凛の皆にとってあたしは一年生と同等なんだろうか。そりゃ過ごした時間は皆より短いから一年生と一緒かも知れないけどさ、それとパシられるのはまた違う話だと思うんだよね!しかも一年生がずんずん歩いてくから一人だけ自販機のところで取り残されたし!二年生の分はマネージャーに任せるって合ってるけど間違ってるよ思いやりが足りないよ!まあ黒子くんも二秒ではぐれてたからついでに連れて帰ってあげるあたし優しいからね!二年生の分の飲み物全部ホットにして買っていってやろうか!もう!

ぷりぷりしながら歩いてると黒子くんと黄瀬くんが二人でいるところを見つけた。去ろうとした黄瀬くんを呼び止めてペットボトル(ちゃんと冷たいやつ)を投げる。お、ナイスキャッチ。

「それ飲んで桐皇とまた頑張りな!」

ちょっと笠松さん意識してみたんだけど客観的に見ても今のあたし格好よかったんじゃない?……え、ちょっと待って黒子くん何で目逸らすの。

「ついでに聞くとっちは青峰っちとオレ……どっちが勝つと思うっスか?」
「あたしは笠松さんが全力でプレー出来るならどっちだっていいよ」

黄瀬くんが吹き出した。真顔で言うことじゃねーっス!とか、じゃあ何て答えれば良かったの。どっちも応援したいしでも笠松さんには後悔してほしくないんだもん!悪いか!

最後に「勝てるかどうか分からない今の方が気持ちいいんス」と言い残して黄瀬くんは帰っていった。……何だよ、あたしより黄瀬くんの方が何倍も格好いいじゃんか。

「もう黄瀬くんのこと子犬って呼べないかも知れないね」

そう溢すと黒子くんは曖昧に笑った。

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